【採掘された金の総量と世界の埋蔵量はどれくらい?】今後の金はどうなる?

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金の総量は、経済や投資の世界で重要な指標です。本記事では、金の総量の定義から世界の採掘量・埋蔵量ランキング、さらには環境への影響や最新の採掘技術まで幅広く解説します。金は枯渇するのか、今後の供給源はどうなるのか。金の総量に関する最新の情報と将来の展望をお届けします。

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金の総量とは何か?その基本と重要性

小粒の金塊の写真
小粒の金塊の写真

金の総量とは「地球上に存在する金の全体量」を指します。これには既に採掘された金と、まだ地中に眠る埋蔵量の両方が含まれます。

また、金の総量は、経済や投資、さらには地球資源の持続可能性にも大きな影響を与えています。まずは金の総量や経済的な影響について解説します。

金総量の定義と計算方法

金の総量は、「これまでの採掘量」と「これから採掘可能な埋蔵量」を合わせたものです。

採掘量は比較的正確に把握できますが、埋蔵量の推定は技術や経済状況に左右されます。

現在の技術では、経済的に採掘可能な量を「埋蔵量」と呼び、それ以外の潜在的な量を「資源量」と区別します。金の総量はこれらを合算して算出されます。

米国地質調査所(USGS)の2024年のデータによると、これまでに採掘された金の総量は「約20万」、また現在の技術で採掘可能な埋蔵量は「約5.9万トン」と推定されています。

したがって、現時点での金総量は約26万トンと推計されます。ただし、この数字は新たな鉱脈の発見や採掘技術の進歩によって変動する可能性があります。金の総量の正確な把握は、経済的価値の評価や資源管理の観点から重要であり、継続的な調査と推計が行われています。

◆参考:Mineral Commodity Summaries 2024

金が経済に与える影響

金総量は、経済に多大な影響を与える重要な要素です。現在、地球上の金総量は約26万トンと推定されており、この希少性が金の価値を支えています。

その金総量の限られた供給は、金価格の安定性と上昇傾向に寄与しています。田中貴金属の推移を見てみると、2024年には金価格が1オンス2,700ドル以上になるなど記録的高値を更新していることが分かります。

また、多くの国の中央銀行が金を外貨準備として保有しています。世界金協会(World Gold Council)のレポートでは、その割合は2024第3四半期までで金総量に対して約数十%を占めています。

さらに金総量の限界は、採掘産業にも影響を与えています。新たな鉱脈の発見が困難になるにつれ、採掘コストが上昇し、それが金価格にも反映されます。

上記のような動向には様々な要因が影響していますが、金総量およびその希少性もそのひとつとして考えられます。


◆参考:田中貴金属工業株式会社|月次金価格推移
◆参考:ゴールド・デマンド・トレンド 2024第3四半期 | World Gold Council

金の採掘量・埋蔵量の世界ランキング

ケースに入った金塊
ケースに入った金塊

金の採掘量と埋蔵量は、世界経済と金融市場に大きな影響を与える重要な指標です。これらのランキングは、各国の金産業の規模や潜在的な供給能力を示すものであり、投資家や政策立案者にとって貴重な情報源となっています。本章では、最新のデータに基づいて、世界の金採掘量と埋蔵量のランキングを詳しく見ていきましょう。

金の年間採掘量ランキング

世界の金採掘量は、経済状況や技術革新、環境規制などの要因により変動します。World Gold Councilの最新データによると、2023年時点での世界の金採掘量は3,644トンに達しました。これは2018年以来の最高水準となっています。具体的な各国のランキングは以下となります。

順位採掘量(トン)
1中国約370
2ロシア約300
3オーストラリア約310
4カナダ約210
5アメリカ約180
6ガーナ約110
7メキシコ約100
8ウズベキスタン約95
9インドネシア約90
10ペルー約85

中国は10年以上にわたり世界最大の金生産国の地位を維持しており、2023年も全体の約10%を占めています。そして、ロシアとオーストラリアが僅差で2位と3位を争っており、両国とも安定した生産量を誇っています。

注目すべき点として、アフリカ諸国の台頭が挙げられます。ガーナが6位に入っているほか、マリやブルキナファソなども生産量を増やしています。一方、かつて世界最大の金生産国だった南アフリカは、長期的な減少傾向にあります。

世界の金生産は地理的に分散しており、これは供給の安定性を高め、市場へのショックを軽減する要因となっているでしょう。

◆参考:国別世界鉱山生産量 | ワールドゴールドカウンシル

金の推定埋蔵量ランキング

金の埋蔵量は、将来の供給可能性を示す重要な指標です。USGSの2024年のデータによると、世界の金埋蔵量は約5.9万トンと推定されています。この数値は、現在の技術と経済条件下で採掘可能な量を示しています。

以下は、推定されている金埋蔵量上位10カ国をまとめた表です。

順位採掘量(トン)
1オーストラリア約12,000
2ロシア約11,1000
3南アフリカ約5,000
4アメリカ約3,000
5中国約3,000
6インドネシア約2,600
7ブラジル約2,400
8カナダ約2,300
9ペルー約2,300
10ウズベキスタン約1,800

オーストラリアとロシアが圧倒的に多く、この2カ国で世界の埋蔵量の約40%を占めています。南アフリカは、かつては世界最大の金生産国でしたが、近年は生産量が減少しているものの、依然として大きな埋蔵量を有していると推測されています。

また、インドネシアやブラジルなどの新興国も上位にランクインしており、将来的な金供給の多様化が期待されます。一方で、中国やアメリカなどの主要経済大国も上位に位置しており、金の地政学的重要性を示唆しています。

これらの埋蔵量データは、新たな鉱脈の発見や採掘技術の進歩により、将来的に変動する可能性があることに留意する必要があるでしょう。また、環境への配慮や持続可能な採掘実践の採用の重要性が高まっており、これらの要因も今後の金生産に影響を与えると考えられます。

◆参考:Mineral Commodity Summaries 2024

金は枯渇する?世界の金総量の推移

金塊の写真
金塊の写真

地球上の金総量は、採掘技術の進歩と新たな鉱脈の発見により、徐々に増加しています。

世界金協会(WGC)の最新データによると、2024年第2四半期までに採掘された金の累積量は約20万9,000トンとされています。これは、オリンピック公式競技用プール約3.8杯分に相当するほどの量です。

また先述したように、USGSの2024年の報告では、現在の技術で経済的に採掘可能な金の埋蔵量は約5.9万トンと推定されていました。前年から7,000トン増加しており、技術革新による採掘可能量の増加を示しています。

しかし、現在のペースで採掘を続けると、既知の埋蔵量は約16年で枯渇する計算になります。そのため、持続可能な採掘方法の開発や新たな鉱脈の探索が急務となっています。

◆参考:WGCレポート:2024年第2四半期の世界金需要は2021年第3四半期以来の低水準!世界金供給量は第2四半期として2010年以降で最高!! – 豊トラスティ証券マーケット情報
◆参考:Mineral Commodity Summaries 2024

金総量の今後はどうなる?環境への影響や採掘技術

金の重さを計っている写真
金の重さを計っている写真

金の採掘技術は日々進化しており、環境への配慮も重要視されています。従来の採掘方法では環境破壊が懸念されていましたが、最新技術の導入により、その影響を最小限に抑える試みが進んでいます。

一方で、金の需要は増加の一途を辿っており、新たな供給源の探索も活発化しています。本章では、金採掘が与える環境への影響や最新の採掘技術、そして将来の可能性について詳しく見ていきましょう。

金採掘が環境に与える影響

金の採掘は、環境に大きな影響を与える可能性があります。

例えば、露天掘りによる大規模な土地の改変は、生態系を破壊し、地形を変えてしまいます。また、採掘過程で使用される有害化学物質、特にシアン化物や水銀は、水質汚染や土壌汚染の原因となり得ます。特に小規模採掘では、環境規制が十分に機能していない場合があり、深刻な環境汚染を引き起こすことがあります。

国の例を挙げると、ガーナでは違法な小規模採掘により、水源の約65%が水銀や重金属で汚染されているという報告があります。

一方で、大規模鉱山では環境への配慮が進んでいます。例えば、水の再利用システムの導入や、採掘後の土地の再生プロジェクトなどが実施されています。しかし、採掘による森林破壊や生物多様性の損失といった問題は依然として存在しており、持続可能な採掘方法の確立が早急に必要とされています。

◆参考:アングル:ガーナで違法金採掘が急拡大 影で健康被害や環境汚染、犯罪や汚職も | ロイター

最新の金採掘技術

金の採掘技術は、環境への配慮と効率性の向上を両立させる方向に進化しています。

例えば、AIやビッグデータを活用した地質解析技術の導入により、より正確に金鉱脈を特定することが可能になりました。これにより、不必要な掘削を減らし、環境への影響を最小限に抑えることができます。

また、バイオマイニングと呼ばれる技術も注目を集めています。これは微生物を利用して、低品質の鉱石や電子廃棄物から金を抽出する方法です。従来の方法と比較して環境負荷が低く、コスト効率も高いとされています。

さらに、ドローンやロボット技術の活用により、人間が立ち入ることが困難な場所での採掘作業も可能になってきました。これらの技術革新は、金の採掘をより持続可能なものにしつつあります。

◆参考:バイオマイニング―効果的な鉱物分解を目指した微生物群の探索―

新たな供給源と可能性

金の需要増加に伴い、新たな供給源の探索が活発化しています。従来の陸上鉱山に加え、以下のような新しい供給源が注目されています。

海底資源深海底の多金属団塊深海底に存在する球状の鉱物塊。マンガン、銅、ニッケル、コバルトなどの金属を含み、将来の重要な資源として注目されています。
海底熱水鉱床海底の熱水活動により形成された鉱床。銅、亜鉛、金、銀などの金属を高濃度で含み、新たな鉱物資源として期待されています。
コバルトリッチクラスト海山の斜面や頂上部に厚さ数cm〜数十cmで付着する鉱床。コバルトを始め、レアメタルを豊富に含んでいます。
宇宙資源小惑星の採掘地球近傍小惑星から希少金属を採掘する構想。一部の小惑星には地球よりも高濃度の貴金属が含まれている可能性があります。
月面資源の利用月の表面や地下に存在する資源の利用を目指す構想。水氷や希土類元素などが存在すると考えられています。
リサイクル都市鉱山からの回収使用済み電子機器などから貴金属やレアメタルを回収する取り組み。環境負荷が低く、持続可能な資源確保の手段として注目されています。
電子機器からの抽出スマートフォンやパソコンなどの電子機器から金やレアメタルを抽出するリサイクル技術。資源の有効活用と環境保護に貢献します。

特に海底資源は、日本の排他的経済水域内にも豊富に存在することが確認されており、将来の重要な供給源として期待されています。

例えば2015年には、東京大学生産技術研究所の研究グループが、伊豆諸島青ヶ島沖に海底熱水鉱床を発見し、そこから採れる鉱石中には濃度の高い金が含まれていることを報告しています。その後は実証実験が進み、2023年には1トンあたり「20グラム相当」の金が回収されました。しかし、この方法は費用が大きくかかるため現実的ではないとされています。

一方、リサイクル技術の進歩も見逃せません。いわゆる「都市鉱山」からの金の回収は、環境負荷が低く、持続可能な供給源として注目されています。日本の都市鉱山には、まだまだ金が潜んでいるとされており、この有効活用が今後の課題となっています。

これらの新たな供給源の開発には、技術的・経済的な課題がありますが、将来的には金の安定供給に大きく貢献する可能性を秘めています。

◆参考:伊豆諸島青ヶ島の東に海底熱水鉱床を発見 ~短期間に海底熱水鉱床を発見可能な手法を開発~
◆参考:編集長展望 Vol.39 深海に金鉱!日本は世界最大級の資源国になれるか? | エネフロ

まとめ

金の総量は、採掘技術の進歩や新たな供給源の発見により増加傾向にありますが、環境への配慮が課題となっています。世界の金採掘量・埋蔵量ランキングは常に変動し、経済に大きな影響を与えています。今後は、海底資源や宇宙資源の開発、リサイクル技術の向上が期待されており、金の安定供給と持続可能性の両立が求められています。

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