【プラチナ価格】今後どうなる?変動の要因や推移を解説

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これまで10年〜20年間で幾度も変動を見せてきたプラチナは、2024年以降も引き続き注目されています。経済動向や産業分野の進展によっては大きく価格が動く可能性があり、2024年以降も関連するようなホットな話題が多いためです。

そのため、投資目的としてプラチナを保有している場合は、価格変動の要因やこれまでの推移を振り返りながら今後の予測をする必要があります。そこで本記事では、これまでのプラチナの価格推移や需要予測について解説していきます。最後の短期・長期での予想もしているためぜひご覧ください。

プラチナの現状

プラチナは過去数年間でその価格が大きく変動しており、とくに2020年のコロナショック後の世界的な不確実性の中で注目を集めました。この希少な貴金属は、自動車、工業、医療分野などさまざまな用途を持ち、とくにディーゼル車の触媒や燃料電池での利用が需要を支えています。

2023年には経済回復とともに一時的な価格上昇が見られましたが、2024年以降の動向を予測するためには世界経済や地政学的リスク、技術革新など複数の要因を考慮する必要があります。まずはこれまでのプラチナ価格推移についてみておきましょう。

これまでのプラチナ価格推移

プラチナの価格は過去数十年間で大きな変動を見せてきました。1980年代初期には1オンスあたり約300ドルでしたが、その後需要の増加により1990年代中盤には500ドルを超えました。2000年代初頭には一時的に1000ドルを突破したこともあります。

その後、自動車産業における触媒需要の高まりによって、2008年のリーマン・ショック前には価格が1オンスあたり2,000ドルを超える高値を記録しました。しかし、リーマン・ショックによる世界的な金融危機により一気に暴落しました。

その後、2011年には金よりも高価なタイミングがありましたが、それ以降は実需の減少や市場の変動により価格が低迷しています。2020年のコロナパンデミックでは再び大幅な下落が見られたものの、2021年以降の経済回復とともに価格が上昇しました。特に、2022年のロシア・ウクライナ情勢による供給リスクが価格を押し上げています。

プラチナの主要産出国とその影響

プラチナの供給は、主に南アフリカやロシア、ジンバブエに依存しています。

国際統計・国別統計専門サイト「グローバルノート」の資料によれば、南アフリカは世界のプラチナ供給の約70%を占めており、次いでロシアが重要な産出国として並びます。これらの国々の経済状況や地政学的リスクは、プラチナの供給量と価格に直接的な影響を及ぼします。

たとえば、南アフリカでは頻繁に鉱山労働者のストライキが発生しており、これがプラチナの供給に大きな影響を与えることがあります。また、電力供給の不安定さや政治的不安定性も生産量に影響を及ぼすリスク要因です。

一方、ロシアもプラチナの主要供給国ですが、2022年のウクライナ侵攻に伴う制裁措置によりロシアのプラチナ供給が市場に与える影響は減少する可能性があります。これにより、南アフリカやジンバブエなど他の産出国がさらなる需要を満たす必要が出てくるでしょう。

◆参考:世界のプラチナ(白金)生産量 国別ランキング・推移 – GLOBAL NOTE

プラチナ価格に影響する要因

プラチナ価格は、世界経済や産業需要、地政学的リスクなどさまざまな要因に左右されます。とくに、世界経済の回復や自動車産業におけるディーゼル車の需要、そして脱炭素社会への移行がプラチナの需要と価格に大きな影響を与える重要なポイントです。

これらの要因が複合的に作用することで、プラチナの価格は変動しています。今後も経済の回復や技術革新、環境政策が価格動向を左右するため、2024年以降もプラチナ市場の将来は注目したいところです。ここでは、これらの要因について詳しく見ていきます。

世界経済の回復

プラチナ価格は世界経済の状況に大きく左右されます。とくに、経済成長が回復する局面では、工業用途や自動車産業での需要が増加してプラチナの価格が上昇する傾向にあります。

例えば、2020年のコロナウイルス感染症蔓延による経済停滞時には、プラチナの価格が一時的に低迷しました。しかし、2021年以降、主要国での経済活動再開やワクチンの普及により、需要が徐々に回復していき価格が上昇しました。

また、アメリカや中国などの経済政策や景気刺激策もプラチナ価格に影響を与えます。アメリカの金利政策やドルの強弱も、投資家の行動に影響を及ぼすため、プラチナの価格を間接的に動かします。とくに、インフレの抑制を目的とした金融政策が実施されると、金やプラチナなどの貴金属市場における価格変動が見られる傾向にあります。

 自動車産業とディーゼル車需要の変化

プラチナの需要は、自動車産業にも大きく依存しています。とくにディーゼル車の触媒コンバーターにはプラチナが使われており、ディーゼルエンジン車の生産が増えるとプラチナの需要も増加します。

しかし、近年のトレンドとして電気自動車(EV)の普及や、欧州を中心とした脱ディーゼルの動きが進行中です。これによって、ディーゼル車に対する需要は減少傾向にあり、プラチナ需要にも影響を与えています。

一方で、水素燃料電池車(FCV)の開発と普及は、今後のプラチナ需要の新たな成長分野と見なされています。燃料電池の触媒としてプラチナは欠かせない存在であり、とくに環境規制が強化される中でディーゼル車から電動車への移行に伴って、プラチナの需要がシフトしていく可能性が高いです。

この自動車産業における需要の変化は、今後のプラチナ市場を形成する重要な要素となるでしょう。

 脱炭素社会とプラチナの役割

脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進む中、プラチナは特に水素エネルギー分野で重要な役割を果たす素材となっています。プラチナは水素燃料電池の触媒として広く使用されており、水素技術の発展がプラチナの需要を大きく押し上げると期待されています。

水素はクリーンエネルギーの一環として注目されており、とくに欧州やアジアでは大規模な水素プロジェクトが進行中です。さらに、再生可能エネルギーの普及に伴って炭素排出量削減に向けた技術革新が進む中で、プラチナの利用はますます拡大するでしょう。

2030年までには、脱炭素技術の普及によってプラチナ需要が大幅に増加すると予測されており、これが価格上昇の要因となる可能性があります。これにより、プラチナは「グリーンメタル」として価値を一層高めることが期待されています。

◆参考:World Platinum Investment Council – WPIC®

今後のプラチナ需要予測

プラチナは、今後数年間でさまざまな分野での需要増加が予測されています。とくに、工業分野と医療分野での成長が注目されています。工業分野では、排出ガス触媒や水素燃料電池の技術革新によって需要が高まっており、医療分野ではプラチナを使用した新しい治療法や医療デバイスの拡大が進んでいます。

加えて、環境規制や持続可能な技術への転換が世界中で進む中、プラチナの供給と需要のバランスが価格にも影響を与えると考えられています。ここでは、具体的な分野ごとに今後のプラチナ需要を分析していきます。

工業分野でのプラチナ需要

プラチナは工業用途において非常に重要な金属です。とくに自動車産業における排出ガス触媒コンバーターでの使用が主要な需要源となっています。排出ガスを浄化するための触媒にはプラチナが不可欠であり、とくにディーゼルエンジン車に使用されることが多いです。しかし、近年ではディーゼル車の需要が減少しているため、触媒分野でのプラチナ需要は減少傾向にあります。

一方で、脱炭素社会の実現に向けた技術革新により、水素燃料電池車や再生可能エネルギー技術におけるプラチナ需要が急増すると予測されています。水素燃料電池はプラチナを触媒として使用しており、水素と酸素の化学反応を促進するためプラチナの使用は不可欠です。

主に欧州や中国での水素エネルギー移行が進む中で、プラチナの需要が急激に増加する見込みがあります。また、再生可能エネルギー技術全般においても、プラチナを利用した新しい触媒技術の開発が進んでいるため、これが今後の需要を支えるとされています。

◆参考:プラチナの多様な工業用途(PDF)|World Platinum Investment Council – WPIC®

医療分野での需要拡大

プラチナは、医療分野においても重要な役割を果たしています。とくに抗がん剤としての使用や、心臓ペースメーカー、脳神経刺激装置など医療デバイスでの利用が進んでいます。

プラチナは生体適合性が高く腐食に強いため、人体に埋め込まれる医療機器の素材として非常に適しているのです。このような医療機器の需要は、世界的な高齢化社会の進展に伴って増加しています。

さらに、プラチナを含む化合物は一部のがん治療においても使用されており、代表的なものに「シスプラチン」や「カルボプラチン」があります。これらの抗がん剤は、がん細胞のDNAに結合して増殖を抑制する働きを持っています。

今後、新たなプラチナベースの薬剤が開発されれば、さらに医療分野での需要が拡大するでしょう。とくに化学療法の進展や新しい治療法の開発により、プラチナの需要は今後も伸び続けると予想されています。

◆参考:シスプラチンについて | 国立がん研究センター 東病院

プラチナ価格の将来予測

プラチナの価格は、供給と需要のバランスや世界的な経済状況に強く影響されるため、将来予測が難しい側面を持ちます。現在のプラチナ価格は、産業需要や投資家の動向に加えて、地政学的リスクや環境政策の変化によって大きく変動しています。

 

短期的には、自動車産業や水素エネルギーの技術進展が重要なファクターとなります。長期的には、脱炭素社会や持続可能なエネルギーへの移行がプラチナ需要を支える要因となるでしょう。ここでは、短期的および長期的な価格動向をそれぞれ詳しく分析します。

短期的な価格動向

短期的にみると、プラチナ価格は世界の経済回復状況や供給の安定性に大きく依存していると言えます。例えば、2020年に起きたコロナパンデミックによる経済的な打撃により、プラチナの需要が一時的に低迷しました。しかし、2021年以降の回復とともに、産業需要が増加しプラチナ価格は再び上昇しました。

とくに、自動車産業における排ガス規制強化や、電気自動車や燃料電池車(FCV)へのシフトにより、触媒としてのプラチナ需要が短期的に押し上げられると予想されています。

また、南アフリカやロシアなど、プラチナの主要産出国における供給制約も短期的な価格変動要因です。例えば、南アフリカでの鉱山労働者のストライキや、ロシアへの制裁などがプラチナ供給に影響を与えて、価格の急騰や急落を引き起こす可能性があります。2024年以降も、こうした外的要因と経済状況によって価格は変動するでしょう。

長期的な価格見通し

長期的には、脱炭素社会への移行がプラチナ価格に大きな影響を与えると考えられています。とくに、水素エネルギーの需要拡大が長期的なプラチナ需要の基盤を形成すると予測されています。

プラチナは水素燃料電池において触媒として重要な役割を果たしており、持続可能なエネルギー技術の進展に応じて今後数十年にわたり需要が増加すると期待されています。

また、長期的な供給面での不確実性もプラチナ価格に影響を与える要因です。主要産出国である南アフリカのインフラ不安や政治的リスク、鉱山の寿命などが供給制約を引き起こす可能性があります。さらに、リサイクル技術の進展も供給に影響を与える可能性があり、長期的な価格動向に寄与する要因となります。

プラチナを投資対象とする際のポイント

プラチナは他の貴金属同様に投資対象としての魅力がありますが、その価格変動の激しさやリスクを理解することが重要です。プラチナ投資をするのであれば、市場の特性を理解して、動向を見極めた上で投資する必要があります。ここでは、プラチナ投資のリスク要因や適切な投資タイミングについて解説します。

プラチナのリスク要因

プラチナ投資には、いくつかのリスク要因があります。

まず、プラチナの価格は自動車産業や産業需要に大きく依存しているため、産業の需要動向に左右されやすい点が挙げられます。例えば、電気自動車(EV)の普及が進む中、ディーゼル車の需要、そしてプラチナ需要が減少する可能性があります。加えて、技術の進展によってプラチナ以外の代替材料が開発されるリスクも考慮する必要があります。

また、地政学的リスクも無視できません。南アフリカやロシアなど、プラチナの主要生産国における政治的・経済的不安定要因が供給に影響を与えて、大きな価格変動を引き起こす可能性があります。さらに、プラチナ市場は金や銀と比較して市場規模が小さく、価格の変動幅が大きいため短期的なリスクが高い投資対象と言えるでしょう。

投資タイミングと市場の見極め方

プラチナへの投資を行う際には、市場の動向を綿密に分析して、適切なタイミングで投資することが重要です。とくに、世界経済の回復基調や産業需要の増加が見込まれる局面では、プラチナ価格が上昇しやすい傾向があります。

また、短期的な価格変動を乗り越えるためには、長期的な視点を持つことも有効です。市場が一時的に低迷している安価な時期に、将来的な需要増加を見越して購入するという戦略もあります。

さらに、経済指標や供給リスクの兆候を注視することも重要です。プラチナの主要産出国での供給不安や、環境規制の強化による需要増加など、市場の変化を敏感に捉えることで投資機会を見極めることができます。市場の分析には、専門的なレポートやニュースを活用し、常に最新情報を把握することが求められます。

まとめ

プラチナは世界情勢によって大きく影響されるものです。2024年以降も、まだまだ大きく変動する可能性があるため短期的なプラチナ取引には注意する必要があるでしょう。一方で、長期的に見ればプラチナの需要は様々な面から期待されていることから、価格上昇も予想されています。

しかし、現在も地政学的リスクは多数あります。短期的、長期的に関わらず、日頃から世界経済の動向や各国の動きについては情報収集しておくことがおすすめです。

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