【ロジウムとは?】価格の高騰・下落要因や用途を解説!

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ロジウムは、白金族元素の中でも特に希少で高価な金属です。その反射率や耐腐食性の高さから、自動車産業やジュエリー、化学産業など幅広い分野で使用されています。価格は需要と供給の影響を受けやすく、過去には急激な高騰や下落を経験しています。

本記事では、ロジウムの特性や主な用途、価格変動の背景を詳しく解説するとともに、今後の動向についても考察します。

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ロジウムとは?希少で価格が高い?

ボルトやネジの写真
ボルトやネジの写真

ロジウム(Rhodium)は、白金族元素に属する非常に希少な金属です。その化学記号はRhであり、原子番号は45です。銀白色の光沢を持ち、耐食性や耐熱性に優れています。

地球上ではごく一部の鉱山でしか産出されず、プラチナやニッケル鉱石の精錬時に副産物として得られます。その年産量は非常に少なく、世界全体で約30トン程度です。この希少性により、投資対象としても注目されることがあります。

また、ロジウムはその特性を活かして、自動車、ジュエリー、電子機器、化学工業など幅広い分野で使用されています。特に、自動車の排ガス浄化装置での需要が大部分を占めています。環境問題の改善にも貢献している金属といえます。

◆参考:「No. 28 ロジウム(Rhodium)」日本金属学会

ロジウムは希少性があり高価格

ロジウムは、地殻中の存在量が極めて少ない金属です。この希少性により、ロジウムは非常に高価格で取引されています。

主な産出国は南アフリカとロシアに限られており、最大級の白金族金属精製企業「ヘレウス・プレシャスメタルズ」のプレスリリースでは、とくに南アフリカが世界の供給量の80%を占めていると述べられています。

また、ロジウムの高価格の要因として、産業での重要性が挙げられます。特に自動車の排ガス浄化触媒として不可欠であり、環境規制の厳格化に伴い需要が高まっている傾向にあります。この需要と限られた供給のバランスが、ロジウムの価格を大きく左右していると言えるでしょう。

◆参考:プレスリリースヘレウス・プレシャスメタルズ 貴金属予測2024: 金は引き続き記録的な水準に

パラジウムやルテニウムとの違い

ロジウムは、パラジウムやルテニウムと同じ白金族元素に分類されますが、それぞれの特性や用途には明確な違いがあります。まず、ロジウムは高い反射率と耐腐食性を持ち、主に排ガス浄化装置の触媒やジュエリーのメッキに利用されます。

一方、パラジウムは、水素を吸収しやすい特性があり、ロジウムと共に排ガス浄化装置の触媒や、燃料電池の電極材料として使用されることが多いです。ルテニウムは、電気伝導性が優れており、ハードディスクの薄膜や化学触媒に役立ちます。

また、価格や希少性にも違いがあります。ロジウムは極めて希少で高価ですが、パラジウムは生産量も多く、価格も安定している傾向があります。ルテニウムも非常に希少な金属ですがロジウムほどではありません。また、用途が専門的であり、まだ活用される場や需要が多くないため、ロジウムやパラジウムよりも安価な傾向にあります。

◆参考:「No. 22 パラジウム(Palladium)」日本金属学会
◆参考:「No. 20 ルテニウム(Ruthenium)」日本金属学会

ロジウム価格の下落・高騰を解説!

ロジウムの価格は、その希少性と産業需要により激しく変動してきました。ここでは、ロジウムの価格変動の歴史を振り返りながら、高騰と下落の主な要因について詳しく解説していきます。まずは、価格高騰の要因から見ていきましょう。

ロジウム価格はなぜ高騰する?

ロジウムの価格高騰には、いくつかの重要な要因があります。

まず第一に、供給の制約が挙げられます。先述したように、ロジウムは世界の生産量の約80%が南アフリカに集中しており、この地域での鉱山操業の問題が直接的に供給量に影響を与えます。例えば、2007年には南アフリカでの電力危機により供給が急減し、価格が急騰したことがあります。

次に、自動車産業からの需要増加も大きな要因です。ロジウムは排ガス浄化用触媒の主要素材であり、世界的な環境規制の強化に伴い、その需要が増加しています。特に中国市場での需要拡大が価格上昇を後押ししている傾向にあります。

さらに、ロジウムは年間生産量が約30トンと極めて少なく、需要の急増に対して供給が追いつかない状況が生じやすいのです。

◆参考:Ecotrade Group | What’s driving the price of rhodium? Here are some key factors you need to understand

ロジウム価格はなぜ下落する?

ロジウムの価格下落には、供給と需要のバランスの変化が大きく関わっています。

まず、供給面では南アフリカやその他の生産国での鉱山生産の回復や増産が価格下落の要因となります。例えば、2021年にはアングロ・アメリカン・プラチナムの転炉プラントの稼働再開により供給が増加し、一時的な価格の下落につながりました。

需要面では、高騰の内容でも触れたように、自動車産業の動向が大きな影響を与えます。経済不況時には自動車の需要が減少し、それに伴いロジウムの需要も低下する傾向にあります。2008-2009年の世界金融危機時には、自動車需要の急減によりロジウムの価格が急落しました。

また、技術革新も価格下落の要因となり得ます。電気自動車(EV)の普及が進むと、従来の自動車に使用される触媒コンバーターの需要が減少し、ロジウムの需要も低下する可能性があります。

◆参考:ロジウムは30,000ドル/オンスから下落、供給懸念が依然として主な問題
◆参考:ロジウムの市場規模、シェア|レポート[2025-2033]

ロジウムの用途

金属を研磨している写真
金属を研磨している写真

ロジウムは、その優れた物理的特性や耐食性から、さまざまな用途で利用されています。

最も代表的なものとして、自動車の排ガス浄化装置やジュエリーのメッキがあります。さらに、化学産業の触媒や航空宇宙産業、医療機器、水素燃料電池など、先端技術を支える重要な役割も果たしています。

こうした用途は、ロジウムが単に希少な金属というだけでなく、その特性が他の金属では代替しにくいものであることを示しています。ここでは、それぞれの用途について詳しく解説します。

自動車の排ガス浄化装置(触媒コンバーター)

ロジウムは、自動車の排ガス浄化装置、特に触媒コンバーターにおいて重要な役割を果たします。自動車業界では、厳しい排出ガス規制に対応するため、ロジウムを含む触媒コンバーターが広く採用されています。

この装置は、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を分解し、無害な窒素と酸素に変換する働きを持っています。ロジウムは、その触媒作用によりこの化学反応を効率的に進めることが可能なのです。また、プラチナやパラジウムと組み合わせて使用されることで、炭化水素や一酸化炭素の除去にも効果を発揮します。

この用途は、ロジウムの需要の大部分を占めており、特にディーゼル車やガソリン車で重要な役割を担っています。

参考:ロジウム市場の規模、シェア、傾向、2033年までの予測

ジュエリーのメッキ

ロジウムは、ジュエリーのメッキ材料としても使われています。銀やホワイトゴールドの装飾品にロジウムメッキを施すことで、美しい光沢が得られるだけでなく、耐食性や耐摩耗性が向上します。これにより、製品の寿命が長くなるというメリットがあります。

化学産業における触媒

化学産業において、ロジウム触媒としても利用されています。特に酢酸や酢酸ビニルの製造過程では、ロジウム触媒が反応効率を高めるために不可欠です。これらの化合物は、プラスチックや接着剤、塗料などの原料となっています。ロジウムは化学産業の発展に欠かせない存在であり、その利用は今後も増加することが予想されます。

航空宇宙産業

ロジウムは、その耐熱性と耐食性の高さから、航空宇宙産業でも利用されています。航空機や宇宙船のエンジン部品には、極限環境に耐える材料が必要であり、ロジウムの特性が理想的とされています。

具体的には、高温環境下でも酸化しにくい性質を持つため、ジェットエンジンやロケットノズルの部品に使用されることがあります。また、宇宙探査機や人工衛星においても、ロジウムを用いた反射材や高精度な部品が採用されるケースが増えています。

医療機器

医療分野でもロジウムは多岐にわたる用途を持っています。

その代表的な例として、歯科用ミラーや外科用ハサミが挙げられます。ロジウムは優れた耐腐食性と硬度を持つため、これらの医療機器のコーティング材料として使用されています。これにより、機器が錆びにくくなるだけでなく、長期間にわたってその性能を維持することが可能になります。

ロジウムは、医療技術の進化に不可欠な素材として、今後も活用の幅が広がるでしょう。

水素燃料電池

水素燃料電池においても、ロジウムは触媒としての役割を果たします。水素を燃料とする燃料電池では、効率的な化学反応を促進するために触媒が必要であり、ロジウムの特性が活かされています。

特に、ロジウムは酸化還元反応を高効率で進行させることができるため、次世代のクリーンエネルギー技術として注目されています。また、他の金属触媒に比べて高い耐久性を持つことから、燃料電池の長寿命化にも貢献しています。

この分野での研究開発は進行中であり、ロジウムの利用可能性がさらに広がる可能性があります。

ロジウム価格の今後を予想

ロジウム価格は今後も需要と供給のバランスに左右されると予想されます。特に、自動車産業での排ガス規制が厳格化され続ける限り、排ガス浄化装置の需要が価格を支える要因となるでしょう。

一方で、電気自動車(EV)の普及が進むことで内燃機関車の減少が需要を抑制する可能性もあります。また、南アフリカやロシアなど主要供給国の鉱山状況や地政学的リスクも、価格変動を左右する要素です。

これらを踏まえると、価格は引き続き不安定な動きを見せることが予測されます。

まとめ

ロジウムは希少性が高く、多様な分野で需要のある貴重な金属です。その価格は、自動車産業の動向や供給状況に大きく左右されるため、投資対象としても注目されています。

一方で、価格変動が激しいため、市場の動きに注意する必要があります。今後も排ガス規制の強化や電気自動車の普及、供給国の状況が価格に影響を与えるでしょう。ロジウムの価格動向をチェックしている方は、その特性や用途を正しく理解することが重要となります。

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